その他の心疾患
心臓に起こる心疾患は、心臓とは関わりのない部位や外部からの影響で起こる場合が多いといえます。
心室細動
心室細動は、不整脈の一種で健康な人にも起こりうる心疾患です。心室細動の原因となるのは心臓病の既往症や血中カリウムの不足などがありますが、最近では「心臓への強い衝撃」を原因とする心室細動が特に注目されています。野球などのスポーツでボールが心臓部を直撃して心室細動を起こすケースが続発したことで、一般に認知されるようになってきたといえます。
心室細動の治療
心室細動を起こした場合、人工呼吸と心臓マッサージを行うだけでは効果は不十分であるといえます。心室細動の治療に効果を発揮するのが「自動体外式徐細動器」、通称AEDです。AEDは医療資格がない一般人にも使用できる医療機器で、機器からの音声ガイダンスにしたがって使用することで、心室細動の治療効果を発揮します。また、AEDは内蔵されたコンピューターによってAEDによる救命治療が必要かどうかをチェックすることが出来る機能があります。
先天性心疾患
人間の身体に起こる病気のいくつかは、先天的な異変を原因として起こる場合があります。心疾患にも、先天的な要因で発生するものがあり、それらの心疾患をまとめて「先天性心疾患」といいます。
ファロー四徴症
ファロー四徴症は、代表的な先天性心疾患です。四箇所に及ぶ先天性心奇形を同時に起こしているのが特徴で、酸素不足の常態化に伴う赤血球の増大などが見られます。基本的には、早期の心臓形成手術で治療を行ないます。重症化すると「極型ファロー四徴症」に発展し、腎不全や心不全などの合併症を引き起こす恐れがあります。
心房中隔欠損・心室中隔欠損
心臓は左右の心房と心室の四つの部屋に区切られ、それぞれの部屋には肺から送られた酸素を含む血液と全身から二酸化炭素を回収した血液が送り込まれます。しかし、心房中隔欠損や心室中隔欠損といった先天性心奇形が起こると、心室や心房に穴が空いて心臓内の血液が混合されてしまうことがあります。心室中隔欠損や心房中隔欠損の主な症状は、疲れやすさや息苦しさなどがあります。治療法としては、大動脈から挿入したカテーテルを使って穴を埋める方法がありますが、小児の場合は成長するにつれて自然治癒するケースがあります。
歯周病から起こる心臓病
食べ物の滓が口内に残ることで発生する歯周病は、基本的には虫歯などの歯の病気の原因になることが知られていますが、場合によっては心臓病を引き起こすことがあります。歯周病が悪化すると、歯周病の原因菌が血管を通って心臓へと達しやすくなります。心臓に達した歯周病の原因菌は、心筋梗塞などの虚血性心疾患や感染性心内膜炎などの心臓病を引き起こすのです。歯周病の予防法は、「毎日歯を磨く」ことに尽きます。歯の隙間に残った歯垢は、歯周病の原因菌にとって格好の棲家になるからです。