心筋症とは
心筋症は、冠動脈や大動脈の異変を伴わない形で心筋に異常が起こり心機能の低下を起こす病気です。この場合の「心筋症」は発病原因が特定されていない「特発性心筋症」を指します。
原因
心筋症が発病する原因は、現在でも特定できていません。また、心筋症の患者の家族にも心筋症が見られるケースが半数近くに昇ることから、遺伝性の疾患ではないかとも言われています。また、C型肝炎ウィルスによるウィルス性心筋炎が心筋症の原因となるという説もあります。
種類と症状
心筋症は、心臓に起こる異常によって三種類に分類されます。近年、日本で確認された新しい心筋症であるたこつぼ型心筋症を加える場合もあります。
拡張型心筋症
拡張型心筋症は、心筋の収縮力が低下して心機能が低下する心筋症です。血液を送り出す力が弱くなり、息苦しさや心臓に血栓が出来やすくなるなどの症状が出ます。病状が進行すると肺に血が溜まりやすくなり、脳梗塞などの血栓が原因になる病気を併発しやすくなります。
肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心筋の厚みが増して心臓の容量が小さくなる心筋症です。一度に送りだす血液の量が減少するため、階段の上り下りや物を持ち上げる程度の運動でも苦しく感じるようになり、場合によっては失神を起こします。自覚症状が出にくいため、病状の進行に気づかない場合があります。
拘束型心筋症
拘束型心筋症は、心筋全体が硬くなって心臓が膨張しにくくなる心筋症です。心臓に鉄分などが蓄積される場合や、心筋が瘢痕組織に変化するなどの症状が見られます。慢性的な心不全を伴い、動悸や息切れを起こしやすくなります。
たこつぼ型心筋症
たこつぼ型心筋症は、過度のストレスを受けることで左心室がタコ壷のように膨らむ症状を見せる心筋症です。女性に多く見られます。1990年に日本で最初の症例が発見されました。心筋梗塞に酷似した症状を表します。
心筋症の治療法
心筋症の治療においては、基本的に心機能の維持を目的とした薬剤投与を行ないながら患者の体力を鑑みた外科手術を行なっていきます。
内科治療
薬剤投与による内科治療は、根治を目的としたものではなく心機能の維持を目的とします。βブロッカーやカルシウム拮抗剤などの循環器系の治療薬を使って、症状の緩和を目指していきます。
外科治療
心筋症における外科治療で最も有名なのは、左心房の一部を切除して再形成する「バチスタ手術」ではないでしょうか。しかし、バチスタ手術が適用できるのは拡張性心筋症だけで術後生存率もそれほど高くは無いというデメリットがあります。現在は、バチスタ手術を発展させた左心房形成手術が主に行なわれています。
心臓移植
心筋症の根治治療のためには、心臓移植が不可欠といえます。しかし、心臓移植はドナーが現れるまでの順番待ちが非常に長く、ドナーが見つかっても手術費用も高額になるなどのデメリットが大きいのが難点です。